記憶
松下由樹

Q:役柄について

「15年前に自分の幼い息子を事故で亡くして、そこから一歩も前に進めず、15年経った今も時が止まったまま、新たな自分自身の人生を切り開くこともできずにいるという、すごく切ない役柄です」

Q:台本を読んだ第一印象は?

「とにかくすごく次の展開が気になるし、主人公と周りの人物の交差の仕方に目が離せないのと、読んでいても同じように闘い、同じように泣き、同じように喜ぶような感覚が味わえる脚本でしたので、一喜一憂しながら一気に最終回まで読んでしまいました」

松下由樹
松下由樹

Q:前半から後半に向かうにつれてサスペンス感が増していくのはどうでしたか?

「特に私の役柄は、息子の事故の犯人が分からないまま時効を迎えてしまったので、真実にたどり着くために必死になっているんですが、その犯人がものすごく身近にいるということに最後どういう気持ちが湧き、どんな展開になっていくのか、サスペンスというよりは切なさとハラハラドキドキ感の方が演じていて感じました。作品自体は他の事件もいろいろ絡んでいきますのでそこは大きな見どころだと思います」

Q:役作りで気を使った点はありますか?

「脚本が良くできているので、あえて自分がこうしようと思わなくても自然に役の気持ちに 入っていける感覚にさせてもらえていました。だから亮介への思いはずっと自分の中にあるんです。中井貴一さんはじめ周りのキャストの方々やスタッフの環境づくりもそうさせてくれていたんだと思います」

Q:中井さんとの共演はどうでしたか?

「中井さんと一緒にお芝居していると、力を入れなくても受け止めてもらえるので、安心して思い切った感情も出せますし、演じる設定は切ないのですが、役者として演じる喜びはすごく感じます」

Q:特に思い入れのあるシーンは?

「序盤のシーンで、本庄がアルツハイマーだということを佳奈子はまだ知らない状況で、本庄から『もっと前を向いて生きた方が良い』と言われた時に、『どうしたらあなたみたいに(亮介のことを)忘れられるの?』って言うセリフがあるんですが、それは切なかったです。お互いの状況を考えると本庄も佳奈子も両方が切なく感じるシーンでした」

松下由樹
松下由樹

Q:自分がアルツハイマーになったら残しておきたい記憶は何かありますか?

「正直考えたくないっていうのはありますし、このドラマ同様にすごく身近な人や愛する人のことを見ても分からなくなるのは、想像するととても怖ろしいです。何の記憶を残したいという思いよりは、そうなった時に自分がいかに前を向いて生きていけるか、逆の立場ならその人を支えていけるかと考えてしまいます。『記憶』はどういう風にその人と向き合い、みんなで支えながら闘っていけるかを手探りしていくドラマでもあるので、その優しさはすごく感じられる作品です」

Q:ドラマの見どころ

「次の展開はどうなるんだろう、この人はどうなっていくんだろう、一体犯人は誰なのか、誰が絡んでるのか、誰が仕組んでいるんだろうっていういろんな要素を最終回まで目が離せず見ていただけますし、それぞれの人物像も深く感じながら見ていただけるドラマです。私自身は大切なものは何なのか、本庄と一緒に闘っていくチーム感もすごく感じられます。言葉に出しちゃうとちょっと大仰ですが、何か愛みたいなものを、優しく感じさせてくれるドラマだなって思います」

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