記憶
スペシャル対談

Q:初めて会った時のお互いの印象は?

中井「このドラマをやらせていただく前に作品を観させていただきました。年齢も僕より七つぐらい下なので当然なのですが、画面で拝見するよりもお若いな、という印象でした」

イ「日本に来る前に中井さんが出演されている映画も観ましたし、今日撮影現場に入る前にたまたまテレビをつけたら、中井さんが出られているドラマを放送していたので、お会いした時は『あ、芸能人だ』と思いました」

中井「僕だって『あ、“記憶”の人がいる』と思いました(笑)。でもよくやりましたね。やっていて本当に大変です」

イ「はい、大変でした。このドラマの後に映画の撮影があったのですが、その時も結構泣いてしまって、後遺症が残りました。撮影の後半では奥さんの顔を見るだけで涙が出てきました」

中井「とにかく出番が多いのと、セリフ量が多いので、休みの日も覚えなければいけないことがたくさんあって。本がしっかりしているので、それに近いものをやろうとしている身としては、本当によくおやりになったな、と今しみじみ思います。やった者しかわからないと思いますが、こんなに出ずっぱりなドラマもそうないなと思います」

Q:最初に台本を読んだ時はどう思いましたか?

中井「非常にストーリーに起伏がある。病気ものなどは今、コンプライアンスが厳しくて、皆が気遣ってやらない、ということを堂々とやっていく姿勢は今の日本に一番欠けているんじゃないかなと思います。本来ならこういうものを地上波でやるべきだと思います」

イ「韓国ではアルツハイマーのドラマがいくつかあったんですが、若い年齢でアルツハイマーになるということだったので、自分に演じきれるかどうか不安でした」

Q:役作りはしましたか?

イ「特にはないです。台本がしっかりしていたので、台本に沿ってやるだけでした。具体的なト書きや指示がなかったので、演じながら頭が真っ白になる、ということはありました」

Q:日韓の撮影の違いはありますか?

イ「短い時間でしたので、細かいことはわかりませんが、まずスタッフの数が少ないですね。撮影のやり方は似ていますが、一日に撮る分量が短かった感じがします。韓国の方がたくさん撮るのでもっと忙しくしています。韓国では3日間寝られないこともありました。正味60分以上のものを週2本放送しないといけないので。でも寒さは一緒でした。今日体に貼るカイロを2個いただいたのですが、韓国では10個以上貼らないとできません」

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中井「今日は温かかった方ですよ」

イ「中井さんが撮影の合間にダウンを羽織っていらっしゃったんですが、この程度の寒さでダウンはな~と思っていました(笑)」

中井「僕は寒いの苦手なんですよ(笑)。俳優として比べても、国によって表現方法が違って、僕たちには僕たちなりの表現方法があるので、それが文化的に交流できていくのは良いと思うんです。同じ料理でも国によって味が違うように、それぞれベストな味が出せればいいなとは思います」

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Q:直接聞いてみたいことはありますか?

中井「イさんはまた日本でお芝居してみたいと思いますか?」

イ「いえいえ、パク監督が日本でも演出されると聞いたので、監督が行かれるなら遊びに行きます、行ったついでに私も出ましょうか、と何気なく言った言葉が実現してしまったので、これをやっていいのか?と来る前から心配ではありました。私がやったことが逆に作品にマイナスになっているんじゃないか?と今でも心配なので、もうこんな経験はしたくないです」

中井「大丈夫ですよ、これだけスタッフも喜んでますし」

イ「これだけおおごとになったのですが、皆さんが優しく迎えてくれたので、楽しく演じることができましたし、中井さんにお会いして本当に緊張しました」

中井「アジアの国はもっと緊密にならないといけないと僕は思っているんです。僕は中国の映画に出て、中国語で芝居をすることをやってきたのですが、政治ではできないことを文化では交流していくということは大事なことなので、そう言わずにまた遊びに来てください」

イ「では、もしもまたチャンスがあったら」

中井「今度は僕がハングルを覚えますね。『記憶』も終わっているだろうから、美味しいものをご馳走させて頂きます」

イ「韓国語だったらぜひお願いします」

Q:ドラマの見どころは?

中井「人間の再生のドラマだと思っています。病という太い芯の中に一話ずつ枝葉が出てくるんですけど、それが非常によく出来ている。一話完結とは言いませんが、一話ごとに納得のいく終わり方をする作りになっているし、見終わった後に人間は病を背負った時にどのように生きていくんだろう、そこから何が始まるんだろう、ということを見ていただきたいですね」

イ「私も中井さんと同感です。作家さんが書いてくれたことで『記憶が薄れるにつれてだんだん大事なものがはっきりしていく』という言葉があったのですが、そのことをドラマを通して見ていただければと思います」

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Q:イさん、中井さんにメッセージをお願いします

イ「先輩、体調を崩さないで最後まで元気に演じていただければと思います」

中井「ありがとうございます。これが会うのが最後にならないよう、生きて終わりたいと思います(笑)」

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